老人ホームにおけるテレビの扱いについて

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娯楽が少ない老人ホームにおいて、テレビの存在は重要です。居室で過ごす時間が長い高齢者は、テレビを見る機会も多いでしょう。テレビがないと、老人ホームの生活は退屈で仕方ないかもしれません。ただし、老人ホームでは、テレビの使用について様々な制限や注意点があります。

老人ホームにおけるテレビの使い方について解説しましょう。

老人ホームに関する相談窓口

老人ホームにテレビは備えられているでしょうか?

多くの老人ホームにはテレビが備えられていますが、それは食事をする共用スペースなどに限られます。個人の居室に最初からテレビが備えられている老人ホームは少ないでしょう。共用スペースのテレビは、個人が勝手にチャンネルを変えることはできません。

したがって、自分専用のテレビが欲しいなら、入居時に持ち込むことが必要です。静謐を保たなければならないホスピスや老健など一部の特殊な施設を除き、テレビの持ち込みを禁じている老人ホームはほとんどありません。

ただし、持ち込めるテレビのサイズなどにつき一定の制限を免れないでしょう。

居室にどんなテレビを置けるか確認しましょう

老人ホームを探す際に、テレビが必需品という場合は、居室の広さやアンテナの配線の位置などをチェックしましょう。どれくらいの大きさのテレビをどの位置に置けるかについて確認しなければなりません。その時は、ベッドとの位置関係が重要です。

ベッドに寝てちょうど見やすい位置にテレビを設置できるかどうかがポイントなのです。ベッドが定位置に収まっている老人ホームでは、テレビの位置も自ずから決まってくるため、他の家具の置き方も併せて考えましょう。

小さいサイズのテレビしか置けない老人ホームの場合、テレビをベッドから遠い位置にしか設置できないと、目が悪い高齢者には視聴が困難になることもあります。テレビを置く位置が決まっても、テレビを床に設置するわけにはいきません。

テレビを置く台が必要です。テレビ台を置ける広さがない場合は、タンスやテーブルの上といった場所を検討することになります。

テレビを置くうえで好ましい位置

高齢者がベッドに寝てテレビを見やすい位置としては、ベッドの足先か横の2箇所になります。足先にテレビがあると仰向けに寝たままの楽な姿勢で長時間観られますが、テレビ画面がやや遠くなり、ベッドの横にある方が高齢者には観やすいと言われています。

ただし、体を横向きにした姿勢が苦手な高齢者には不向きでしょう。高齢者の身体の状態に合わせて設置場所を選ばなければなりません。

老人ホームで起きやすいテレビの音のトラブル

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老人ホームでは、テレビに関するトラブルが起きることも多いので注意しなければなりません。まず、大きな音量が隣室の居住者の苦情の原因となります。そのため、音量を30までなど限定する老人ホームも少なくありません。

しかし、耳が遠い高齢者は音声を聞き取るために音量を大きくせざるを得ない面もあります。

イヤホンを毎回耳に装着するのは面倒ですし、ベッドに寝たままテレビを見るためには、長いコードのイヤホンが必要になるでしょう。長いコードはすぐ絡まって使いにくくなってしまうし、コードレスのイヤホンは紛失しやすいのです。

したがって、テレビの音のトラブルを防ぐためには、ある程度防音壁の整った施設を選ぶことが必要になるでしょう。

テレビのリモコンに関するトラブル

テレビを操作するには、リモコンが欠かせません。しかし、リモコンをいじっているうちに不要なボタンを押してしまい、見たい番組を見られなくなるというトラブルが続発しています。特に、入力切替や番組情報などのボタンを押してしまうと、どうやって元に戻せるのかわからず、毎回介護スタッフを呼ぶという事態に陥るのです。

そこで、使わないボタンにカバーをかぶせたり、チャンネル切り替えに特化したボタン数の少ないリモコンを利用したりするといった対策が求められるでしょう。リモコン自体を紛失したり、落して壊したりすることも多く、置き場所を決めてトレーを設置するといった配慮も欠かせません。

テレビの使用料について

テレビを見ると電気代がかかりますが、電気料金は他の電気製品と同様にまとめて支払うので問題ありません。NHKについては、居住者のテレビにつき受信料が発生すると思う人もいるかもしれません。しかし、特別養護老人ホームや軽費老人ホームといった老人福祉法で規定される福祉施設の居住者は、NHKの受信料免除制度を受けられます。

したがって、こうした高齢者施設に入居したら、受信料の支払いを求められることがありません。ただし、有料老人ホームなど、老人福祉法の適用外となる施設に入居した場合は、受信料を請求されることもあるので注意しましょう。

BS放送に関しては、入居施設が衛星放送を契約してアンテナ設備を備えていれば受信できます。

テレビの有効な使い方

テレビを居室に設置したら、様々な使い方を楽しめます。単に、地上波や衛星放送で放映される番組を観るだけでなく、HDMIのコードを使ってパソコンにつなげば、家族や知り合いとテレビ電話をすることも可能になります。

なかなか面会できない孫の顔をテレビ画面で見られたら元気が出るでしょう。テレビモニターの方が大きくて、パソコンの画面よりずっと見やすいのです。目が悪くて画面を見られなくても、パソコンでダウンロードした音楽をテレビのスピーカーを通して好きなだけ聴くこともできます。

ネット回線がなくても、写真や動画をテレビ画面で見られる商品も発売されました。この装置があれば、スマホアプリで送信することも簡単です。

転倒事故の対策

ある程度大きな画面のテレビを置ける老人ホームでは、地震などの際にテレビが転倒して居住者が怪我をしないように工夫を凝らさなければなりません。かつてのブラウン管テレビと異なり、フラットな液晶画面のモニターは不安定で転倒しやすいのです。

テレビの下には転倒防止のマットを敷くほか、可能ならピアノ線や針金などで上面の端を吊るすことが望ましいでしょう。テレビモニターの上面角にはワイヤーを通す掛け金が左右併せて2箇所あります。この掛け金にピアノ線や針金を通して居室の壁面や柱とつなげれば、転倒事故を防げるでしょう。

老人ホームの生活を充実させるためテレビを有効活用しましょう!

老人ホームでも、テレビは様々な使い方が可能です。放映される番組を視聴するだけでなく、ネット環境があれば親しい人とのコミュニケーションツールとしても活用できます。また、視力が衰えて画像が見られなくなっても、好きな音楽や家族の声を聴くツールとして使えます。

ただし、音量やリモコンの扱いなどでトラブルにならないよう、十分対策を講じることも忘れないようにしましょう。